男の子を性被害から守る絵本

※下記の内容は、ある方から提供していただきました。ありがとうございます。 ('01.12)


男の子を性被害から守るために、絵本を活用しましょう。

男の子や子どもに性被害から身を守る方法を教えることは、難しいと感じる人も少なくないと思います。

そのような時は、下記の絵本を活用してみましょう。

性被害だけでなく、迷子になった時、知らない人に声をかけられた時、誘拐、いじめ、暴力などのケースも取り上げられており、安心して子どもといっしょに読むことのできる絵本だと思います。

就学前や小学校低学年のあいだに、一度はこのような絵本を子どもに読み聴かせをしておくことをお奨めします。

また、皆さんがお住まい地域の学校、保育園、幼稚園、市町村の図書館でも購入するように薦めてください。

図書館、学校、地域などの「絵本の読み聴かせの会」でも、一度はこのような本を取り上げてください。インセスト(近親姦)や暴力が支配する家庭では、このような絵本が取り上げられることがないと思われますので、家庭以外の場でも、読み聴かせてほしいものです。

ただし、読み聴かせをするときは、子どもをけっして怖がらせないようにしましょう。おどして教えることは、子どものこころに傷を残すことがあります。特に、就学前の小さな子どもは、絶対に怖がらせないでほしいと思います。

同時に、「いつでもあなたを守るよ」というメッセージを伝えるようにしてください。

◆下記は、女の子と男の子の両方の被害の例を含む絵本です。子どもが被害にあったとき、基本的な対応は男女ともそう変わらないと思います。

◆子どもを加害者にしないためにも、年齢にあった性教育を、就学前や小学校低学年の内からしましょう。特に、下記で紹介しているように、他人の「プライベート・ゾーン」に勝手に触れてはいけないんだよと教えて起きましょう。また、下で紹介した『おちんちんのえほん』のように幼児向きの性教育の絵本もあります。男女ともに小学校のうちから、自分より小さな子どもを虐待する子どもがいます。


子どもには、次の4つを教えてください。

1. NO
(嫌と言う)
嫌なことをされたら「イヤ」と言ってもいいと教えておきましょう。
大人や上級生から嫌なことをされても、子どもはなかなかイヤとは言えません。ただし、実際に被害にあったときにNOと言えなくても、責めないでください。
2. GO
(逃げる)
嫌なことをされたら、逃げる、大声を出す。
知らない人や危険な感じがする人に対しては、相手の腕が届かない距離を保つようにすることも教えておきましょう。
3.

TELL
(信頼できる人に話す)     

信頼できる人に話す。親や先生に受けれてもらえなかったら、話しを聴いてもらえる人に出会えるまで話す。
「これは秘密だから、誰にもいっちゃダメだよ」と脅かされても、間違った秘密は守らなくても良いこと、誰かに話すことを教えておきましょう。
こどもが話しをしてくれたときは、怒ったり叱ったりしないようにします。
4. プライベート・ゾーンについて教えておいてください。 からだのなかで、口と水着で隠す所は「プライベート・ゾーン」といって、お父さんやお母さんといっしょにお風呂に入る時や、お医者さんに診察してもらう時などの場合以外は、他人が---ときには家族であっても---勝手に触れてはいけないと所なんだよと教えておきましょう。

この他、子ども同士で助け合えることは、助け合おうと伝えましょう。

 

子どもが性被害にあったときのサイン

1. 年齢不相応な性的な行動をしたり、話したりする。
2. 性器について以前とはちがった関心を急にみせるようになったり、激しい自慰をするようになった。
3. 他の子に対して性的な行動をしたり、攻撃的になった。
4. おびえたり、不機嫌になったり、急にまとわりつくようになったり、すぐに泣くようになったりして、情緒が不安定になった。
5. 特定の人を見ると落ち着かない。あるは、特定の場所に行くのを嫌がる。
6. 食事、睡眠、トイレなど日常生活に、普段とは異なる重要な変化が起きた。
子どもに気になる変化が見られたときは、「なにか嫌なことがあったの?」と率直に尋ねてみましょう。もし、何も答えなくても、とがめたりしないでください。
何も答えないときは、「いつでも相談してね」と伝えておきましょう。

 

子どもが被害にあったときは

1. 子どもの言うことを信じましょう。男の子も成人男性から被害を受けたり、痴漢にあったりしています。また、同級生や年長の子どもから、パンツ脱がせなどの性的いじめを受けることがあります。女性から被害を受けることもあります。
2. 子どもを安心させてください。そして、子どもに「あなたは悪くない」ということを言葉と態度で伝えましょう。また、「話してくれてありがとう」「話してくれて嬉しいよ」という一言を添えると、子どもをより安心させることが出来ます。
3. 冷静に対応しましょう。大人が過度に感情的・暴力的に反応することは、子どもを混乱させたり、自分は悪い子だと感じさせたりします。
4. 子どもを責めないでください。「なぜ早く話さなかったの」「言いつけを守らなかったからよ」「それはほんとうなの?」「すぐに忘れるわよ」などの言葉を、子どもに言わないようにしましょう。
5. 子どもとあなたを援助してくれる専門家やサポート機関、相談電話を探しましょう。
6. 加害者を告発しましょう。警察や児童相談所にゆく場合は告発でなくても、相談などからはじめることもできます。

 


『とにかくさけんでにげるんだ〜〜わるい人から身をまもる本〜〜』
ベティー・ボガホールド/作、安藤由紀/訳、河原まり子/絵、岩崎書店、1999年、1300円。誘拐や性被害を防ぐための絵本。上手に出来ている絵本だと思います。カナダの小学校で副読本として使われている絵本の日本版。日本でもこういう本を学校で配布するようになってほしい。

『こんなときはノー!といおう』
ラリー・ワッチャー/文、ジェーン・アローン/絵 北沢杏子、染嶋いずみ/訳、アーニ出版、1995年、2200円。子どもは大人から嫌なことをされたとき、なかなか「イヤ」と言えません。だから、嫌なことをされたとき、「ノー!」と言ってもいいことを子どもに教えておくことが大切です。男の子について2話、女の子について2話でバランスが取れています。「ぼくのからだはぼくのもの」「キャンプ場で・・・」で男の子の話しが語られています。アメリカの絵本。

『あなたはちっともわるくない』『いいタッチわるいタッチ』『わたしがすき』
安藤由紀/作・絵、岩崎書店、各1300円、2001年。この3冊は、就学前から小学校低学年の子どもが、自分で虐待に気づき、身を守ることを伝えている絵本。解説が分かりやすいので読んでね。

『もう こわくない』
マリー・ウァブス作、安藤由紀訳金の星社、2002年、1200円。幼児虐待や性虐待をふせぐベルギーの絵本の翻訳です。仲のよいはずのおおかみさんが、こぐまのミューに時々おかしなことを強要したり、乱暴するようになったので、こぐまのミューは勇気をもって「やめて」と言おうと決意しました。

『あなたが守る---あなたの心・あなたのからだ』
森田ゆり/作、平野恵理子/絵、童話館出版、1997年、1171円。アメリカで開発されたCAP(子どもの暴力防止)教育プログラムを、子どもに直接にわかりやすく話しかける絵本。子どもは 「安心して」「自信を持って」「自由に」生きる権利を持っていることを説く。性虐待、いじめ、誘拐への3つの事例を取り上げている。小学生向き。

『だれか た・す・け・て』
安藤由紀/作、朝倉めぐみ/絵、世界文化社、2000年、1143円。
グループCAPの安藤さんにるよる創作絵本です。幼い姉と弟が誘拐されたという設定。大人は、絵本の最後の「12の大切なこと」「今、大人ができること」を読んでおこう。

『性暴力をはねかえす絵本』全3巻
北沢杏子&リンダ・ウォルヴード・ジラード作アーニ出版、1999年、各1500円。
「いや!というのはどんなとき?」「知らない人にはついていかない」「わたしのからだはわたしのもの」の3冊。

『ママにもいえなかった・・・』
ミカエル・ルンドグレン/文、ウルフ・グスタフソン/絵、北沢杏子、はまこ・ペーション/訳、アーニ出版、1995年、2200円。 スウェーデンの絵本。父親から性虐待を受けたドラゴンの女の子が、インセスト・サバイバーとして、勇気を取り戻してゆくお話。この絵本を子どもに読み聞かせる際には、本書の最後の「おとなたちへ〜〜この絵本を子どもといっしょに読む前に」をあらかじめ読んでおきましょう。小学高学年以上向き。

『いや』
全日本手をつなぐ育成会/編著、自立生活ハンドブック・7、1998年、600円(送料込み)。知的障害のある人に、自己主張の大切さや、虐待や性暴力から身を守るために「ノー」ということの大切さを、呼びかけている本。障害者への性暴力もまた、なくしていかなければならない。

『おちんちんのえほん』
山本直英/文、佐藤真紀子/絵、ポプラ社、2000年、1200円+税。
幼児から小学生向き。男の子と女の子の違い、性器のこと、おちんちんを清潔にすること、プライベート・ゾーン、赤ちゃんはどこから生まれてくるかなど、男の子ならみんなが知りたいと思うことが、楽しく描かれている。被害にあいそうなとき、「だれか助けて!」と叫ぶことも教えている。この本では加害者は「しらないひと」(16頁)という設定になっているけど、男の子の被害の場合も、加害者が身近な人であることもある。

下記の4冊は、3歳〜7歳の子どもを対象に、性虐待を受けた子どもに心の傷を癒すことを伝えたり、性被害から身を守ることを伝えるための絵本、ならびに教師や親のための教則本。出版はすべてビデオドック(木犀社)。
『わたしのからだよ!』
    ロリー・フリーマン/文 、キャロル・ディーチ/絵 、田上時子/訳、1990年、388円。
『「わたしのからだよ!」教則本』
    ジェニー・ハートロッシ/著、田上時子/訳、1990年、582円。
『ライオンさんにはなそう』
    パトリシア・キーホー/文、キャロル・ディーチ/絵、田上時子/訳、1991年、485円。
『「ライオンさんにはなそう」教則本』
    パトリシア・キーホー/著、田上時子/訳、1991年、680円。


CAP(子どもへの暴力防止)のワークショップを開きましょう。

CAP(キャップ)は、子どもを暴力・性被害・いじめ・誘拐などから防ぐために有効なプログラムを持つNPO(民間団体)です。保育園や幼稚園、学校や地域で、プログラムのワークショップを開くことを推薦します。

お住まいのお近くのCAPを探すには、「CAPセンター・JAPAN」のホームページや、サリー・クーパー『「ノー」をいえる子どもに』(童話館)を参照してください。


【補足】この他下記のような点にも注意しましょう。

 

加害者のイメージについて


 

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