男女および多様な性別のグループでの安全確保

2006年5月記


 

男女混合(ミックス)の自助グループや、多様な性を含むグループで分かち合いをするときには、最初に、いっそうの安全の確保に注意したほうが良いと思っています。また、男女が個人的に会う時も、多少の注意が必要だと思います。

わたしの経験から考えると、次のようなことに注意するのが望ましいのではと思います。

@境界線をきちんと守ること。

A距離感をしっかり保つこと。

Bアサーティブな表現をすること。

※アサーティブは適切な自己主張のことです。分からない方はアサーティブもしくはアサーティブネスでネット検索してください。アサーティブはサバイバーにとって重要なスキルになります。この種の講座もあるので、ぜひ参加しておかれることをお奨めします。

これらの3つができるかどうかは、個人によってかなり違います。他にも

Cなにか問題が起きたときに柔軟に対応できる力があるともっと良いと思います。

そして、

D混合ミーティングをするためには、まずは同性同士での自助グループや、分かち合いの体験を十分にし、できたら1年以上は体験して、「境界線をと守る」などの感覚を身に付けてからのほうが、より安全にできるだろう考えています。
もとより、このようなことが最初からできて、互いに安心で安全な感覚が得られるなら、最初からミックスですることになんら問題はないと思います。

※分かち合いの体験は、掲示板やネットでの分かち合いでも良いかも知れませんが、できたら実際に出会ってみると仮想世界とはかなり違うものだということが感じられると思います。

E場合によっては、自助グループを離れて、私生活での交流をどうするかも取り決めておくと良いと思います。たとえば、互いに個人的に電話をしてもよいかどうか、町で出会ったときどうするか、ミーティングを離れて個人的に会っても良いかどうかなど。
また、時にはミーティングを安定させるために、個人的に会ったり、個人的に電話をしたりした場合は、ミーティングの冒頭で簡単に報告し合うという方法が良い結果を生むこともあるかもしれません。

Fそれから男女間、あるいは同性間でも、親しくなったり私生活での交流が始まっててから起きてくる大きな問題は、悪性のしがみつきや、性的なしがみつき(性依存)が、起きることがあることです。 こうしたことが起きるのは快復のプロセスでもあるのですが、でも、このようなしがみつきがこじれたり、悪質になったりするとたいへん怖いと思います。こういうしがみつきが起きていても、本人には恋愛にしか感じられないのが普通なので、自分一人ではなかなか対処が難しかったりします このようなことが行きすぎると性暴力の再現にまでなってしまうことがあります。

G過去においては、男女のサバイバー間での言い争いも目にしてきましたが、それはたいてい、ポルノグラフィー、性の商品化、フェミニズムをめぐってです。(笑) これらは一般の男女でももめがちなテーマです。もちろん、男性サバイバーの中にもフェミニストはいます。この種のテーマで話し合うことは意義のあることですが、それをするにはやはりアサーティブな物の言い方が必要になると思います。

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わたしは男女混合の自助を4〜5年していました。 隣人の会というグループで、今は解散しています。1999年か2000年から始めた会で、 数人の女性に混じって、男性の私が参加しました。他にドロップインで参加する人もありました。 楽しかったですよ。 解散するときに、女性たちから、男性のわたしが居てくれてよかったと言われて、たいへんうれしかったです。 わたしは女性から性被害を受けているので、わたしにとっても女性の皆さんと分かち合うことは意義深かったです。

他にも、毎年2月のアデクションセミナー(依存症を考える民間グループの催し物)で、オープンミーティングもしており、こちらももう数年になります。 これは男性性被害の理解を深めてもらうために、どなたでも参加できるように開催しているもので、マスコミや援助関係の方も来たことがありますし、女性サバイバーの方も毎年参加してくれています。ミーティングンの後のお茶会での交流は、たいてい男女混合になりますが、楽しくお話できています。

わたしの知る範囲ですけど、男女のサバイバーで、分かち合いすることは、なかなか意義深いし、多くのサバイバーにとって得ることは少なくないと思います。男性サバイバーにとって、自分の弱さや被害体験を女性の前で吐露することは、自分を変えるきっかけになる人もいるようです。女性サバイバーにとっても、男性から共感してもらうことは、同性から共感してもらうのとひと味違う体験になるようです。  

ただ、安全確保はつねに念頭に置いておきたいことだと思います。

では、皆さんの良い分かち合い、良い快復をお祈りしています。

 

 

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